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夜中ギター

「夜中ギター」が発売。
http://item.rakuten.co.jp/avac/hpa908g/
夜間練習用のフルアナログギター用ヘッドホンアンプだそう。
何がいいって、この昭和テイスト溢れるデザインとネーミング!
たまらん。
欲しいなー。これでオーディオインターフェイスが付いてたら完璧なのに……。


昼下がりに突然「お汁」より「お露」のほうがエロスを感じるよねって思ったので書いてみた。
長文だよ。



続きは↓
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 そのころの私は無闇矢鱈と元気だけはあるどこにでもいるような学生で、地元の人が土地の者でも息が上がるような急坂だから用心しろというのもまともに取り合わず、「まぁ、そうは言っても大した事はないだろう」とたかを括って山の上の滝への道を登り始めた。
 最初の半里程は程よくなだらかで、道の両側に迫る雑木林が送り込む風の涼しさや、木々の間から時たま覗ける畑仕事の様子などを物珍しげに眺め、旅行に来たことを心底楽しみながら登っていた。しかし雑木林が切れゴツゴツとした岩肌が草間から見え隠れし始めると急に斜面は急になり、足元の地面も柔らかな腐葉土から滑りやすい砂利道へと変わって歩を進めるのに手こずりはじめた。またそれにつれて先程までは物珍しく見えていた景色も単調なものに感ずるようになった。
 「なんでこんな坂を登ろうと思ったのだろう。大人しく宿で寝ていればよかった。」
 すっかり飽きてしまい、足の痛みもあって私はそれからもう十分ほど歩くと。手頃な岩に腰掛け持参した竹筒のお茶を乾いた喉へと流し込んだ。
 「もう半分ほどは来ただろうか?まさか、こんなに険しいとは思いもしなかった。こんなことなら靴も山歩き用のものを主人が言った時に素直に借りるべきだった。」
 私は普段学校に通う時の短靴に、旅行用のマントという全く山歩きにはそぐわない格好で登っていたのである。私が慣れない山道に痛む足をさすりさすり息をついていると、麓の方から紺の絣に笠を被り杖をつきながら登ってくる女の姿が現れた。
 女は私の目の前まで来ると会釈し、私から一メートルほど離れたところにある石に腰掛け笠を脱いだ。笠を脱ぐまで女の顔をよく見えなかったが、若い。山里の女には似あわぬ肌の白さで、山道を歩いてせいか頬が上気してうっすらと赤みを差しているのがより肌の白さを引き立たせている。絣の合せの間から覗く首元には汗が玉になって光っている。女がそれを丁寧に手拭いで拭う姿は服装に似あわず妙な上品さをたたえ、まるで大切な銀の匙をビロードの布で撫でるようにゆっくりと曇りを取っているように見えた。
 私の不躾な視線に気づいたのか頬の赤みが増し首まで桜色に染まると、袂で合わせ目を隠すようにしてうつむいてしまった。私も急に恥ずかしくなってしまい明後日の方向を向いたはいいがやはり女のことが気になり、足を揉みほぐしながらもちらりちらりと視線を送るのを止むことができなかった。
 汗を手拭いで拭きおわると、女は風呂敷包みの中から小さな弁当包みを取り出すとふかし芋を食べ始めた。顔や首元と同じくシミひとつなく華奢でうっすらと紅のさした小さな手が芋をつかむと、芋の濁ったような白さがとても汚く見えた。芋を口元まで運ぶと女は、小さな小鳥がついばむ様に少しづつ少しづつ、何度も囓っては咀嚼した。その度に小さな花弁のような唇が微妙に開いては閉じ、まるで何かを誘い込むかのような動きに私は尚のこと女から目を離せなくなってしまった。ふかし芋を食べ終わると女は傍らに生えたほおずきの葉を一枚丁寧にむしると、それをまた白磁のように白い手で艶めかしく包み水筒から水を注ぎこんだ。竹の筒から注がれる水ですらも女の手に寄ると、何かしらとても儚く美しいものを生み出しているように見えた。それは私に一枚の絵を思い出させた。
 それは一年の時に受けた美術の授業の教科書に載っていたヨーロッパの宗教画で、イエス・キリストが弟子の杯に聖水を注ぐシーンを描いたもので、私にはそれがとても清らかな物に映ったのでよく覚えていた。
 女はその即席の杯に水を入れると捧げ持ち、心持ち上を向いて小さな両の花弁の間に流し込んだ。水は花弁の間から時折覗く舌の先を穿つとするすると飲み込まれていく。水が流れこむ度にぴんと張った喉がこくり、こくりと上下し震えた。女の首は細く、その震えで崩れてしまうのではないかと思うほど儚く見え、私は彼女の肌に比べると黒く焼けて薄汚れた両の手でそっと首を支えて上げたい衝動にかられた。
 女は葉を捧げ持ったまましばらく待ち、葉の縁に付いた最後の一滴を喉に落としこんだ。私にはその最後の一滴がゆっくりと葉の縁を滑り、鋸の歯のようにジグザグになった葉の先から女の濡れた唇に落ちていくのが見えた気がした。いや、それどころか味わった気さえした。春の萌木についた朝露のように甘くやわらかで、唇に触れた瞬間快感で女の体が震えるのを文字通り感じることができた。露はとろけるように舌先で沈むと口の中一面に広がり、喉の奥から食堂へと踊りように駆け抜けお腹を過ぎ、下半身をジンワリと麻痺させるように染み渡った。
 女はほおずきの葉を大事そうに畳んで石の上に置くと、今飲み干したばかりの水で潤んだ目で私を見透かすように見つめると、笠を被り杖をつきながら坂を登っていった。女の姿が見えなくなるまで私はぼんやりと眺めていた。そして大分痛みの遠のいた足に短靴を履かせると、女が石の上に置き去ったほおづきの葉を破らぬようにそっと懐に仕舞うと、女とは逆の方向へ歩き始めた。

 私は今でもそのほおづきの葉を大事に机の引き出しの中にしまってある。


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ね、そこはかとないエロスを感じるでしょ?
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