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南北に向かって走る一号線に直行する道が最寄りの駅から自宅への最短ルート。
南北を縦走する道に直行しているのだから、当然その道は東西方向に真っ直ぐ伸びている。
何度もーー少なくとも日に二度はーー歩いているはずなのに、この道が東と西にどこまでも住宅街を伸ばしていることを意識したことがなかった。

作り物のような赤味がかった月は嘘のように大きく、道の向こうの空の低い位置に浮かんでいた。
陰影がはっきりとみえ、目を凝らせばアバタのようなクレーターすら肉眼で見えるような気がした。
余りに大きく、明るく、全てがはっきりとし過ぎていて、ちょっと向こうまで歩いてヒョイと手を伸ばすと掴めそうなほどだった。実際そうしてもよかった。そうしたい気分だった。

あまりにも作り物めいているせいで、その月が与える印象すらも馬鹿げていた。
今にも影の部分から梯子が垂れ下がりうさぎが降りてくるような気がしたし、そのままポロリと空から剥がれ落ち誰かのお皿の上で割られるのを待つ卵の黄身のようにも見えた。

そうしたい気分だったら、そうすればいい。手が届かなかことなどわかってはいるけれど、手を伸ばさずにはいられない。虚空を掴む満足感だっていいじゃないか。
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